その生産過程で使用される技術および熟成期間にもよりますが、チーズの熟成というのは基本的に、牛乳の構成成分が生化学的プロセスにより分解され、チーズを構成するより単純な化合物へと変化することを指しています。
具体的には、ラクトースは乳酸菌により分解されて発酵した乳酸となり、たん白質はペプチドやアミノ酸などの低分子化合物に分解され、脂質は脂肪酸に変換されます。こうした幾つかの化学変化が重なることにより、チーズは従来の牛乳よりも消化しやすい食べ物となるのです。
ゴルゴンゾーラDOPのようなブルーチーズの場合、選別されたカビ、特にロックフォール青カビなどを使用することにより、チーズの中にカビを生じさせます。カビの成長はゴルゴンゾーラにとって最も重要かつ特徴的な側面であり、ロックフォール青カビがたん白質分解と脂肪分解とを誘発することにより、凝乳のたん白質や脂質などの成分を変化させるのです。
ゴルゴンゾーラの熟成過程における生化学的プロセスは非常に複雑なもので、牛乳の成分の分解から生じる中間生成物の影響を受けた細菌叢の変革に依存するものです。特にゴルゴンゾーラチーズの熟成を刺激する主要因は乳酸菌であり、熟成の最初の段階を大きく左右するカビの生育に適した土壌を形成します。
酸度は熟成の初期段階では高くなりますが、カビの育成と共にそれは薄くなります。その過程で低分子量の窒素分画は増加し、脂質は脂肪酸に分解され、他の酵素が変換されますが、その過程における揮発性化合物が空気中に放出される際に強い香りを発するのです。
ゴルゴンゾーラチーズDOPの熟成過程におけるこうした生化学的プロセスこそが、ドルチェならクリーム状に、ピカンテならより固くチーズの性質を変化させ、そこに香り高い成分を生じさせるものなのです。
結論として、ゴルゴンゾーラチーズの熟成は牛乳の成分を根本的に分解するものであり、チーズの味・香り・固さ自体を決定付け、ゴルゴンゾーラをチーズの中でも最も消化しやすいものにしていると言えるでしょう。